2012年2月21日火曜日

なぜ部族はマスクを着用しましたか?

FAQ@MRSA

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特定非営利活動法人バイオクリーン・ラボ事務局

 

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MRSA相談室(ご相談の際は予めご利用規約をお読み願います)

FAQ:MRSA相談室に寄せられますよくあるご質問より(◆:新規)

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48MRSAは血液を介して感染するものか?また、予防ワクチンはあるのか?

47保菌と発症の違いはどのように判断されのか?

46術後MRSA創部感染(保菌)した肉親の外泊時の家庭内感染への不安

45MRSA感染(3+)した肉親からの家庭内感染が心配です

44MRSA個室隔離された親の看病による家庭内感染が心配です

43発症までの潜伏期間

42MRSAへの過剰な脅威を背景とする市民からの相談事例

41NICUでの保育器の消毒について

40MRSA拡散予防での「手洗い」と「うがい」が最も重要な理由について

39MRSA個室隔離による差額ベッド代の負担を求められて

38緑茶の抗MRSA作用と臨床応用について

37MRSA保菌者と告知されましたが、家族へ感染させる可能性はあるのでしょうか?

36紙製外科マスクは感染対策で有効なのか?

35MRSA患者さんの介護でMRSAに感染することがあるのか?

34MRSA患者さんの使用した食器の消毒の有無は?

33MRSA患者さん用の予防衣の消毒法についてどちらが良いか?

32MRSA感染患者の入浴順序はどのような基準で決めたらよいのか?

31MRSA院内感染による個室隔離に際して個室料を患者は負担しなくてならないのか?

30MRSA保菌患者の転院先や在宅医療利用の相談に応じる行政窓口はどこか?

29MRSA保菌を理由の退院強要・入院拒否は正当な理由なのか?追加情報(医師コメント)

28MRSA院内感染の公的な救済制度はあるのか?

27MRSA保菌を理由の退院強要・入院拒否は正当な理由なのか?

26オムツ交換でのディスポ手袋のアルコール噴霧による連続使用は可能なのか?

25MRSA検査結果の菌量表示の基準とは?

24MRSAとは何の略語で、どのようなものか?

23MRSAはどこに存在しているのか?

22MRSAはどのような方法で伝播するのか?

21MRSAの院内感染予防に有効な手洗い方法とは?

20MRSAは健康なヒトにも病原性があるのか?

19健康な人がMRSA保菌者からMRSA感染を受ける可能性はあるのか?

18新生児のMRSA院内感染の一般的な傾向と治療法とは?

17MRSA院内感染の判断基準とは?

16院内感染に対して病院はどのように対応しているのか?

15MRSA院内感染予防についてどのような情報源があるのか?

14鼻腔検査でMRSA陽性と判定されたが、本人自身に対してどのような影響があるのか?

13MRSA骨髄炎の一般的な予後は難治性なのか?

12MRSAなどの院内感染の被害に対しての相談窓口はあるのか?

11新生児収容施設でのMRSA感染症防止のための施設基準は?

10環境中のMRSAが創傷面に付着して感染する可能性はあるか?

Q8:新生児室勤務職員にMRSA保菌が確認されたが、どのように対応すべきか?

Q7:新生児室のMRSA院内感染でピンホールになる点には何があるか?

Q6:院内学級でMRSAを保菌した生徒と接する上で配慮することはあるのか?

Q5:MRSAの付着した衣服を家庭で洗濯する上で留意することはあるのか?

Q4:医師・ナースより院内感染の告知を受けた際には、どのような点を確認すべきか?

Q3:MRSAの保菌部位は?

Q2:感染対策上で半袖白衣の推奨される理由とは?

Q1:MRSAとMSSAとの判定基準は?

Q.MRSAは血液を介して感染するのでしょうか?また、予防ワクチンはあるのでしょうか?

【相談事例】:MRSAの感染者の血液が傷口や粘膜などに付着した場合に感染しますか。また、MRSAの予防接種はあるのでしょうか。

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:一定以上のMRSAが血液に入り込んだ場合に、かつ、その血液が傷口や粘膜に付いた場合に、感染する可能性は否定できませんが、ほとんど有り得ないことだと思います。患者さんの血液に菌が入り込んだ場合、重篤な症状を呈するので容易に判別できますし、そのような場合に血液が飛び散るような処置は出来ませんから・・・。また、現状、MRSAの予防接種はありません。

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Q.保菌と発症の違いはどのように判断されるのでしょうか?

【事務局コメント】:保菌状態であるのか、それとも発症しているのかを決めるには、感染部位の炎症の有無、発熱の有無、CRP値、WBC(白血球数)、好中球の貪食状態などから判断されますが、概ね発症者では菌量が「3+」と菌数が非常に多い傾向が見られます(しかし「3+」でも保菌状態の場合もあります)。

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Q.術後MRSA創部感染(保菌)した肉親の外泊時の家庭内感染への不安です

【相談事例】:先日、祖*が手術後のキズからMRSAに感染したことが検査でわかりました。本人に症状はなく保菌している状態だと思いますが、世話をしている人は、手袋エプロンを着用しています。主治医から、家には小さい子供がいることだし、小さな子供には抵抗力がないから一時的にせよ退院しないほうが良いのではといわれました。しかし、都合により一時的に祖母を連れて帰らなくてはなりませんが、家庭内ではどのようなことに気をつければいいでしょうか?傷口にさわらないことはもちろん、介護、おふろ、床、食事、など気になります。子供はまだ幼いので、あちこちなめるのも心配です。介護することで保菌したかどうかも調べた方が良いのでしょうか? また、家庭内を消毒した方が良い� �でしょう?- 主婦 -

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:創部感染の状態でしょうが、帰宅される時に創部をガーゼとフィルムで覆っていれば大丈夫でしょう。しかし、このまま退院されることはお勧めできません。一時帰宅の形がベストだと思います。創部感染をしている場合、その傷口が開いてしまう危険性があるからです。傷口がしっかり塞がるには、やはり除菌が必要です。以上のような処置をして頂ければ、お子さんに対しても、ほかのことに関しても全く心配する必要はありません。家庭内の消毒の必要もありません。しかし、あくまで一時帰宅の対応が必要だと思います。

【事務局コメント】:在宅での感染対策につきましては、上記の感染症専門家の助言を参考に主治医ともう一度話し合われますことをお奨め致します。また、一時退院の場合には、在宅医療(訪問看護や往診医による往診)サービスの受診が可能かどうかも検討されると安心出来るかと思います。なぜなら、ご家族への感染への心配以上に、むしろご祖母様の傷口の悪化や、季節的にインフルエンザが蔓延していることから、インフルエンザやかぜ症候群からご祖*様を守ることが大切だからです。在宅時の医療サポートを含めまして、主治医の先生とご相談されますことをお奨め致します。あくまでもご祖*様のお身体のことを案じられることが大切だからです。

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Q.MRSA感染(3+)した肉親からの家庭内感染が心配です

【相談事例】:入院中の親がMRSA(3+)に感染しました。私の子供(乳児)は現在、風邪をひいてるのですが、接触する機会が多く、娘に感染するのではと思い心配です。もし、感染すると、どのような症状があり、また、どうすれば感染予防が出来るでしょうか?- 主婦 -

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:どの場所からMRSAは検出されたのでしょうか? 手術部位の創部、鼻、喉、痰? お子さんに感染する危険性は、極めて少ないと思います。また、MRSAが移ったとしても、鼻腔内か咽頭内の保菌に留まり、発病することはまずありません。お子さんが保菌したとしても成長に合わせていなくなると思います。健常なお子さん(風邪くらいでは大丈夫です)にとって、MRSAは雑菌と同じ程度でしかありませんから。

【看護師(外科系病棟勤務歴8年)コメント】:親御さんはどの部位に感染していて、感染による症状はおありなのでしょうか? MRSAに感染したといっても、感染している部位や保菌状態なのか、発症しているのかにより、対応が異なります。おそらく保菌状態なのではないかと仮定し、コメントしますが、そうであれば、お子様に対しての感染は神経質になる必要はありません。むしろ、抵抗力の弱くなっている親御さんに風邪をうつすことになることの方が深刻ではないでしょうか。お子様の風邪が治るまでは病院まで連れて行くことは避けたほうが賢明かもしれません。具体的な感染対策としましては、面会前後に手を洗う、うがいをするなどしていただければと思います。

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ヤヌスは、どのように多くの顔を持っているのですか?

Q.MRSA個室隔離された親の看病による家庭内感染が心配です

【相談事例】:すい臓ガン、脳梗塞、肺炎で入院中の**歳代の祖*が、喀痰検査でMRSAに感染していた為に個室隔離され、私の主人が看病をしております。家には、生後*ヶ月の赤ちゃんと*歳の子供がいますが、病院から帰ってきた際、子供たちとのふれあいで子供たちに感染したらと、とても不安です。子供への感染があるのか、また、感染を防ぐ方法を教えて下さい- 主婦 -

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:ご主人がMRSAを持ち帰る可能性はほとんありません。また、ご主人には看病から帰る際には、手洗いをきちんとするようにお伝えください。手洗いさせ、きちんとしていれば、なんら問題はありませんし、お子さんと普段通りに接しても感染する危険性はほとんどありません。マスコミが過剰にあおった為、ご心配されているのでしょうが、過剰な心配をされているように感じられます。ご主人のさらなる負担にならない程度の心配に留めていても、なんら問題はありません。

【事務局コメント】:MRSAは赤痢やコレラなどのような伝染病菌ではありません。元来はヒトの皮膚などにひっそりと住んでいる黄色ブドウ球菌で抗生剤への耐性を獲得したものです。抗生剤への耐性を獲得した以外には、通常の黄色ブドウ球菌とは性質に変わりはないものとされています。健康なヒトに感染しても発病することは稀で、通常は保菌しても自然と消失してしまうとの見解が支持されています。むしろ身体状態が悪いと想像されます祖*様に、外部からインフルエンザなどを持ち込まない注意が肝心に思います。お見舞いの前後にかならず手洗いをすることが大切です。

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Q.発症までの潜伏期間はどのくらいでしょうか?

【相談事例より】:MRSA肺炎などの発症までの潜伏期間は、通常どのくらいでしょうか?

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:患者さんの状態と暴露された菌量によって大きく変わってきますので、どのぐらいということは返答できませんが、一般的な感染症は6時間から3日程度ではないでしょうか。

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Q.MRSAへの過剰な脅威を背景とする市民からの相談事例より

【相談事例】:脳梗塞で入院しています父親が、主治医よりMRSAに感染している(+1)と告知されました。この(+1)の意味は何でしょうか? 父の介護に通っている母親も高齢者で*年前に肺がんの外科摘出手術を受けており、現在も治療を受けています(若干の抗癌剤も使っていると思われます)。このような母親が父親の介護を行っていてもMRSAに感染する問題ないでしょか? MRSAとは、何処にでもいて体力の弱くなった人にのみ症状が出たり、血液検査で判明するものでしょうか? その他参考になることがありましたらご教授願います。(市民)

【看護師(国立病院外科系病棟勤務歴9年)コメント】:この(+1)というのは、MRSAの菌量です(1万コロニー数/1ml以下)。MRSAの菌量は「1+:1万コロニー数/1ml以下」、「2+:1万〜100万コロニー数以下」、「3+:100万コロニー数以上」の3段階で表示されます。通常は「3+」ですと概して発病状態のことが多く(無発症の場合もあります)、「1+」はただ単に保菌した問題のない状態と判断されます。ところで、お父様のMRSAはどこからでているのでしょうか?床ずれなどができていませんか?それとも痰などからでたのですか?おそらく、鼻腔や喉にMRSAがついているだけの状態なのではないですか?そうであれば、保菌しているだけの状態です。

お母様は現在も抗がん剤の治療中ではありませんね?現在治療中か、治療終了直後の免疫力が低下している状態でなければ、特に面会を制限する必要はないでしょう。しかしながら、他の面会の方もお見舞いの前と後に石鹸と流水で手洗いをしましょう。MRSAに感染する方は、体力や免疫力が低下しているかたですから、周囲の人間が他の菌を運びこまないようにきちんと手洗いする必要があります。

MRSAは、ある種の抗生剤に対して耐性を持つ黄色ブドウ球菌です。黄色ブドウ球菌はヒトの常在菌です。通常の生活ができるかたは、菌がついただけでは発症しませんが、体力や免疫力が低下している方に対しては発症することがあります。また、黄色ブドウ球菌は食中毒菌としても代表的な細菌の一つになっています。医療現場での通常の検査方法は、感染部位から綿棒で拭い取ってMRSAを選択的に培養する培地に接種して培養することが多いかと思います。あえて血液検査を行う場合は、実際に炎症反応がでているのかを確認するための検査(CRP値や白血球数を見る)か、すでに菌が血液中に入ってしまった菌血症や敗血症の可能性が疑われる場合に行われます。

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Q.NICUでの保育器の消毒について教えてください

【相談事例】:NICU(新生児ICU)を開設するにあたり保育器の消毒をどの様にすればいいのか悩んでいます。ホルマリンは、有効なのでしょうか。

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:保育器の消毒をホルマリンでできるのであれば、それにこしたことはありません。最も効果的な消毒でしょう。NICUではMRSAがはびこります。その防止には使い捨て手袋着用が効果があります。汚染された保育器を作るのではなく、汚染されないように気を配るべきです。また、可能であれば、NICU専属ナースが望ましいと思います。

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Q.MRSA拡散予防での「手洗い」と「うがい」が最も重要な理由について教えてください

【相談事例】:MRSAの拡散を防ぐには、「うがい」と「手洗い」が最も重要であるという理由を教えて下さい。

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:「手洗い」が最も重要です。というのは、院内感染が起きる最大の原因は医療従事者の手からの患者さんへの伝播なのです。この原因を取り除くだけでも1/4以下に減少するという報告もあります。手洗いも、処置後の手洗いを重視するのではなく(もちろん重要ですが)、処置前の手洗いの方が重要なのです。患者さんと接触する前に汚染菌を除去すれば、院内感染は起きないわけです。「うがい」は、飛まつ感染が疑われる時以外は必要ありません。

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Q.MRSA個室隔離による差額ベッド代の負担を求められてどう対応すべきでしょうか?

【相談事例】:現在I病院に入院しています。*年前に脳梗塞にてK病院にて治療を受けましたが、障害2級となりました。その後S病院にてリハビリを行い、さらにその後にO病院にて治療を受け、本年より現在のI病院に入院しました。ところが入院*日後に4人部屋から急に個室に変わってほしいといわれました。その理由は、MRSAに感染しているからと告知されました。前院のO病院から、MRSA検査結果の申し送りがなかったのでMRSA検査を行った結果、MRSA感染が判明したので個室に移動して欲しいということで、しかし個室料金は要らないとのことでした。ところが個室への移動を求められたその夕刻になって、院長が個室料金をもらうべきといっているとの理由で、個室料金支払い同意書への記入を求められました。その時に、MRSAに院内感染したのは前院のO病院ではないかといわれたので、個人的に前院のO病院に問い合わせたところ、MRSA陰性にてカルテをI病院に送ってあるとの返事でした。このような事態に見舞われてどうしたらよい� ��かわかりません。経済的な負担に耐えられそうにありません。(市民)

【事務局コメント】:深刻なご相談内容を拝読致しました。種々と病院を転院されてご本人ご家族共にさぞや大変なことと]拝察申し上げます。さて、前院ではMRSA陰性とカルテに記載して現院に申し送りしてあるのに対して、現院ではそのような事実はないと主張されているとのことですね(前院・現院のいずれかに虚言があることになりますね)。 本件ではこの点での事実関係の把握が問題解決の鍵になるように思われます。前院の担当医より、現院の担当医にMRSA陰性のカルテを申し送りしてあるのでしたならば(前院から現院に入院するまでの間にリハビリ通院などされていてその際に新たにMRSAに感染したのでなければ)、MRSAは現院で院内感染したことになりますので(個室隔離は病院側の一方的な都合によるものとなり)、個室料金は病院側が負担しなくてなりません。しかし、もしも前院から現院に入院するま� ��の間に、リハビリなどでの通院期間があった場合には、その間にMRSAに感染したことも考えられます。もしそれが現院に通院していたのでしたならば現院の外来で院内感染したことが考えられますので、現院が個室料金を負担すべきだと思いますが、通院先が他院であった場合には、現院で院内感染したとする証明は非常に困難に思われます。なお、以上の観点より病院の事務長と直接に話し合いをされますことをお奨めします。医療費のことでは、医師、看護師などの医療従事者と交渉するよりも、直接に事務職員(それも事務長ないしはその代理的な立場にある職員)と直談判すると短期間で解決することがあります。この相談室にご相談された方の中には、事務長に直談判したことで、最終的に個室料金は病院側が負担した事� �もあります。ただし本件では、院内感染の事実関係とは別個に、前院よりMRSA陰性のカルテが現院に送られているのが事実なら、そのようなカルテを受けていないとの発言は虚言となりますから、この点を強く抗議し事実関係を糺すべきと思います。また、医療過誤問題を専門とする市民団体のホームページ(検索エンジンでヒットします)をご覧になって、その相談窓口に相談されますことをお奨め致します。

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Q.緑茶の抗MRSA作用と臨床応用について教えてください

【相談事例】:一般病院で看護師をしています。私の病棟でも、MRSA患者様がいます。肺炎と脱水で入院し、その後、MRSAが喀痰より検出されました。現在、緑茶の抗菌作用について注目されていますが、当病棟でも緑茶を使い、その患者さんに対し、ネブライザーを施行しています。病棟の、看護婦全員がしっかりと理解できるようにと考え、いろいろな、ホームページをみて、緑茶の抗菌作用がなんとなく理解できたのですが、MRSAとの関連がどうもはっきりしません。

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:緑茶を使用する場合、少なくとも15分以上は煮出して下さい。MRSAに対する効果は緑茶に含まれるカテキンが抗菌活性を発揮します。ですから、緑茶から充分に煮出す必要があります。カテキンはポリフェノールの一種であり、グラム陽性菌(黄色ブドウ球菌、MRSA、表皮ブドウ球菌等に抗菌効果が確認されています。但し、ポリフェノールは蛋白(血液、浸出液)が存在すると、蛋白と容易に結合して抗菌活性を消失します。緑茶カテキンを使用して、咽頭や床ずれのMRSAを除菌なさっている看護婦さんは、近頃増えてきましたね。ということは、時間がかかるかもしれませんが、副作用の心配なく、かつ除菌が出来ている証拠でしょう。ネフライザーだけでなく、もし可能であれば常時飲んで頂ければ、もっと効果的なのですが。

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Q.MRSA保菌者と告知されましたが、家族へ感染させる可能性はあるのでしょうか?

【相談事例】:術前にMRSA検査をしました。鼻に綿棒のようなものを入れた検査でした。その検査結果で、MRSAが陽性と判断されました。それを聞いたときは、よくわからなかったのですが、あとでMRSA陽性というのは、とても大変なことだと知りました。私は、MRSA保菌者ということになるのでしょうか。その場合、これから私が日常生活に気をつけることなどあるのでしょうか。私には2歳になる子供がいるのですが子供や夫にMRSAをうつしたりしないのでしょうか。これから妊娠・出産などは不可能なのでしょうか。(主婦)


煙画面が内戦をどのように役立ったか

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:ご心配なく、それほど大した問題ではありません。このままでも普通の生活を続けて頂いて、いっこうに差し支えありません。健康正常人の鼻腔保菌者の方も結構、いらっしゃいますし、普通の生活でも何の問題も生じていません。どうしても除菌したい場合は、ムピロシンという抗菌剤で簡単に除菌できます。しかし、このような抗菌剤を使わなくても自然に消滅する場合が多く、そのほうが自然で良いのではないでしょうか。気持ちの問題ですから、心配で精神的にまいってしまうようなら、担当医にその旨ご相談なさり、除菌してもらってください。もちろん、家族に伝播することはほとんどありませんし、お子さんを産むことについて何の支障もありませ� �。

【看護職(外科系病棟勤務歴9年)コメント】:失礼ですが、MRSAを保菌が大変なことであると思われたのは、どちらからの情報でしょうか? 医師からそのように説明されましたか? MRSAは、抗生剤に耐性をもつ黄色ブドウ球菌で、この黄色ブドウ球菌は私たちが生活する場にもある常在菌です。抗生剤に耐性をもつため、抵抗力が非常に低下している状態のかたに関しては、発症する危険がありますが、通常の生活を送れる方はまず発症する危険はありません。また、保菌していても自然に消えることもあります。どうしても気になるのでしたら、主治医にご相談して除菌されるのもひとつの方法かと思いますが、自分の健康管理に留意され、免疫力が低下しないような生活を送られることも薬に頼ら� �、ご自分で実行できることかと思います。MRSAを保菌していても、日常生活は普通に送ってかまいません。食器や洗濯も別にする必要もありません。

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Q.紙製外科マスクは感染対策に有効なのでしょうか?

【事務局コメント】:紙マスクの感染対策上での効果については、確定的な文献は入手されませんでした。しかし、例えば歯科領域では臨床上での紙製外科マスクの着用が普及しており、大学病院のある歯科臨床医に確認しましたところ、紙製外科マスクが歯科治療上での感染対策に有効であるか無効であるかを断定し得る文献にまだ接したことがないとの返事でした。しかし、歯科領域は常時治療で観血的処置はじめタービンで歯を削ることによる感染性エアルゾルの常時曝露が避けられないことで、紙製外科マスクの着用は感染対策上から指示されているとのことでした(その大学病院では臨床医は全てマスク着用)。もし紙製外科マスクが感染対策上に無効であるならば、歯科医師も臨床上でのマスク使用はし� �いでしょうが…紙マスクの繊維の間隔が、飛沫粒子よりも物理的に小さければ、飛沫粒子がマスクを透過することはありません。要するにマスクの繊維間の隙間の大きさと、マスク表面に感染性の飛沫が付着した際のその浸透性の物性によりその効果が決まるものと考えて検討すべきであると思います。

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Q.MRSA患者さんの身体介護でMRSAに感染することがあるのでしょうか?

【事務局コメント】:介護されます患者さんが単にMRSAを保菌しているのでしたら、感染を受ける可能性は極めて少ないと思います。どのような人でも種々な常在菌を身体や衣類に持っています。介護の前後に手洗いをしっかりと行うことで感染対策は十分と思われます。また、例え介護する側が保菌したとしても、健康である限りは健康に影響はありません。MRSA感染対策の原則は、手洗いの励行に尽きます。このことは院内感染対策であっても、介護の場での感染対策であっても共通します。なお、多量のMRSAを含んだ膿や喀痰が周囲を容易に汚染するような場合には、予防衣やマスクなどを用いた感染対策が求められます。

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Q.MRSA患者さんの使用した食器の消毒の有無はどう考えるべきでしょうか?

【事務局コメント】:MRSA保菌状態にあります患者さんの食器を他の食器と区別して取扱う必要性はありません。洗浄も一般の食器と一緒で問題はありません。MRSAに限らず、食品衛生に適った衛生管理の遵守は食中毒予防のために不可欠ですので、あえてMRSAだけを対象とした対応は無意味です。ただし多量の菌量を含む膿性体液が食器に濃厚に付着する場合には、一般の食器とは別に扱う必要性はあります。そして食器を洗浄する前に次亜塩素酸ナトリウム希釈液に30分以上浸漬してから一般食器と同じ扱いで洗浄して下さい。

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Q.MRSA患者さん用の予防衣の消毒法について、紫外線ロッカーと速乾式噴霧剤の直接噴霧のどちらがより効果的なのでしょうか?

【感染症学専門家(医学部教員)コメント】:予防衣は、基本的には1回使用すればクリーニングに回します。MRSA感染者であっても、常時排菌している状態ではないので、汚染があると判断した時のみ70%のエタノールで消毒を行っています(大学病院例)。排菌のない患者さんの場合では、予防衣よりもむしろ手袋着用と手洗いの方がもっと重要だと思います。また、MRSA患者さんに使用した予防衣と,別の患者さんの予防衣は紫外線ロッカーであっても、別々のロッカーにして下さい。紫外線ロッカーの殺菌力は紫外線が当たった部位だけのように思われがちですが、紫外線によって発生するオゾンによるオゾン殺菌も期待できます。しかし、その場合にはロッカーを締めた状態で12時間以上の連続した紫外線照射が必要になります。紫外線は当たっている部位は強力な殺菌� ��果が期待できますが、その照射部位からの距離の2乗に反比例して効果がなくなります。その直接的な効果を期待するのではなく紫外線から発生するオゾンによる殺菌効果を期待した方が確実です(時間はかかりますが)。噴霧式速乾性手指消毒剤は手指に使用するものですから、予防衣には70%エタノール自体の方が良いと思います。汚染の頻度が高い場合は、予防衣を使い捨ての紙でできたものがありますから、それを使用されますことをお奨め致します。

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Q.MRSA感染患者の入浴順序はどのような基準で決めたらよいのでしょうか?

【感染症学専門家(医学部教員)コメント】:入浴順番としましては、1. MRSA非感染者(非保菌者) 2. 痰等の感染源がお湯の中に拡散しない患者さん。 3. 尿路感染、腸管内感染の患者さん。 4. 感染源が外部の患者さん。感染量の少ない患者さんから感染量の多い患者さん。入浴後は、シャワーをかけて、看護婦さんもまくった腕をシャワーで充分洗浄します。お湯の中の汚染度を考慮して入浴順番を決めれば良いと思います。

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Q.MRSA院内感染による個室隔離に際して個室料を患者は負担しなくてならないのでしょうか?

【事務局コメント】:MRSAに限らず、院内感染を受けたことで医療機関により個室隔離が行われた場合には、患者は差額料金(個室料)の支払い義務はありません。この場合には医療機関が差額を負担しなくてはなりません。ただし患者より個室に入りたいとの意思表示があった場合には、その旨の契約書を取り交わしてある場合には、個室料は患者が負担しなくてはなりません。次の関連記事を参照下さい。

情報提供:公衆衛生ネットワークML

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Q.MRSA保菌患者の転院先や在宅医療利用の相談に応じる行政窓口はどこでしょうか?

【事務局コメント】:各自治体によりその相談内容に応じて窓口は異なりますが、初めに最寄の保健所または保健センターに相談しますと、該当する機関の窓口を紹介して貰えます。相談内容によっては保健所や保健センターで応じて貰えます。

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Q.MRSA保菌を理由の退院強要・入院拒否は正当な理由なのでしょうか?(医師コメント)

補注:この問題につきまして、公衆衛生ネットワーク(東京都区の保健所職員を中心として始まった自主グループの研究会MLに投稿しましたところ、都内保健所勤務医の切明 義孝 医師よりご教示が得られましたので、切明医師のご承諾を得てその内容をここに転載致しました。

∇ここより転載文∇

70歳以上の高齢者患者のご家族より、MRSAの保菌(コロナイゼーション)を理由にした退院強要・転院拒否に直面し困惑しているが、どこに相談すれば解決出来るのか教えて欲しいとの相談が度々寄せられます。

Q.1:MRSA感染は診療を拒否する正当な理由と認められるのでしょうか?

A.1: なりません。もともとMRSA感染の原因は院内感染症である可能性がありますのでこの場合は退院を強要するのはあまりにも無責任です。高度な技術を要する治療が必要な場合には転院を勧奨することはあると思いますが、この場合でも患者さんが納得した上での転院が望ましいです。

Q.2:MRSA感染を理由の退院・転院強要や入院・転院拒否に直面した場合、行政機関その他で相談や救済に応じてくれる窓口(無償)はあるのでしょうか?

A.2:東京都の場合は東京都衛生局の医務指導課 指導係が担当です。ぜひご相談下さい。

情報ご提供:切明 義孝 先生

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MRSA院内感染の公的な救済制度はあるのでしょうか?

【事務局コメント】:残念ながら、国内には院内感染の被害者を公的に救済する制度は、現在のところありません。(もし私たちの認識不足でしたら、是非とも情報提供をお願い申し上げます)

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Q.MRSA保菌を理由の退院強要・入院拒否は正当な理由なのか?

【事務局コメント】:MRSA感染(保菌)を理由とした医療機関での退院強要や入院拒否は、正当な理由とは認められていません。担当の医師にそのことを告げてその対応策を協議するか、行政機関(地方自治体の病院指導担当課や保健所)に相談するのも現実的な手段となります。

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Q.オムツ交換でのディスポ手袋のアルコール噴霧による連続使用は可能でしょか?

【事務局コメント】:交差感染の予防のためにディスポ手袋を使用する際には、着用時と脱着時の手洗いの遵守と、「一処置一手袋」の遵守が原則です。一処置毎にアルコール噴霧などで手袋を交換せずに使用し続けることは、交差感染の原因となりかねない危険性があります。そのような使用法を行うのでしたら、むしろ素手で処置を行って、一処置毎に石鹸でよく手を洗うようにする方が交差感染の予防には有効です。

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Q.MRSAとは何の略語で、どのようなものですか?

【事務局コメント】:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillinresistant Staphylococcus aureus)のことで、ペニシリン系抗菌剤に代表される抗生物質の一部または全てに耐性を獲得した黄色ブドウ球菌です。

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Q.MRSAはどこに存在しているのですか?


いつどこでアドルフ·ヒトラーが死んだ

【事務局コメント】:MRSAは治療で抗生物質を用いている病院内に定着していると考えられています。特に規模の大きな病院ほど検出率が高くなる傾向があります。大規模な病院ほど抗生物質の使用量が多く、また、長期入院する患者さんが多くMRSAに感染する機会が増加すること、さらには高度医療の結果によって易感染状態にある患者さんが多いことなどがその原因ではないかと考えられています。

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Q.MRSAはどのような方法で伝播するのでしょうか?

【事務局コメント】:通常は手指を介した水平感染によって伝播されると考えられています。この他にも、咽喉や鼻腔に保菌している場合には、咳やくしゃみによる飛沫感染も主な感染方式と考えられています。

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Q.MRSAなどの院内感染予防に有効な手洗い方法とはどのようなものですか?

【事務局コメント】:30秒以上の流水(水道水で可)による手洗いが推奨されています。具体的な手洗いの方法は種々の感染対策文献やネット上の感染対策サイトに図示されていますのでご参照願います。

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Q.MRSAは健康なヒトにも病原性があるのえしょうか?

【事務局コメント】:健康なヒトへの病原性は低いとされている細菌で、健康なヒトでは皮膚や鼻腔内、咽頭などに定着していることがありますが、健康なヒトでは数ヶ月以内に自然に除菌されてしまうと言われています。

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Q.健康な人がMRSA保菌者からMRSA感染を受ける可能性はあるのでしょうか?

【事務局コメント】:通常は起こり得ないとの見解が支持されています。ただし床擦れにMRSA感染があって、その膿にMRSAが濃厚に含まれている場合や、MRSA肺炎で喀痰中に多量のMRSAを含んでいる場合、さらにはMRSA腸炎などで糞便中にMRSAを大量に含んでいるいる場合、それらのMRSAを含んだ生体に由来した物質の扱いには注意が必要で、状況に応じた水平感染防止のための消毒処置を取るべきです。なお大切なことは、MRSA保菌者であることを理由に、保菌者を避けたり施設やサービスの利用を拒否するなど、その人権を蹂躙するような対応は絶対に許されるべきではありませんし、そのような差別を許してはならないと考えます。MRSA保菌者から健康な人がMRSA感� �を受け発病した事例報告はまだありません。MRSAを保菌しているということと、MRSA感染症を発症しているということには、その対応に大きな違いがあります。

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Q.新生児のMRSA院内感染の一般的な傾向と治療法とはどのようなものでしょうか?

【事務局コメント】:次の文献を参考までにお勧め致します。「特集 新生児・小児の病院感染対策」、インフェクションコントロール、第8巻、第6号、1999年、メディカ出版、大阪・東京(定価¥2,100消費税込み)

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Q.MRSA院内感染の判断基準とはどのようなものでしょうか?

【事務局コメント】:MRSAに限らず院内感染の判断基準として、通常、入院48時間〜72時間以降に発症したものを院内感染と判断する場合が多い傾向にあります。参考文献:木村哲(1997)、「院内感染対策の現状」、臨床医、23巻、10号

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Q.院内感染に対して病院はどのように対応しているのでしょうか?

【事務局コメント】:残念なことに病院ごとに院内感染対策に温度差があるのが現実ですが、通常は院内感染対策委員会や院内感染制御チームを医師・看護職員・検査室職員・薬剤士・事務職員で構成して、院内感染の発生の把握とその対応策を現場に指示する活動に取り組んでいます。院内感染対策に熱心な病院には、院内感染対策の専門家である看護婦(士)「ICN:インフェクション・コントロール・ナース」が配置されています。

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Q.MRSA院内感染予防についてどのような情報源があるのでしょうか?

【事務局コメント】:院内感染対策の参考文献は種々のものが出版されています。次の文献はその一例です。

*厚生省監修、国立大阪病院感染対策委員会編集「院内感染予防対策ハンドブック」、南江堂、1998年

*大久保憲、賀来満夫「感染対策ICT実践マニュアル」、メディカ出版、1997年

*「特集 院内感染対策ガイドライン」、臨床医、vol.23、no.10、1997年

*厚生省監修「院内感染対策Q&A 現場からのMRSA感染対策の疑問に答える」、へるす出版、1997年

*浅利誠志「MRSA消毒・除菌と治療 −チーム医療で退治できるMRSA−」、最新医学社、初版1997年

*牧本清子編著「病院感染のサーベイランス入門−EBMに基づく感染管理をめざして−」、メディカ出版、1999年

文献の他にインターネット上で情報発信を行っているWebサイトやメーリング・リストが数多くあります。

【MRSA院内感染についての事務局特薦図書】

1)富家恵美子著「院内感染」・河出文庫・定価¥476(税別)

2)富家恵美子著「院内感染ふたたび」・河出文庫・定価¥560(税別)

3)富家恵美子著「院内感染のゆくえ」・河出文庫・定価¥600(税別)

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Q.鼻腔検査でMRSA陽性と判定されたが、本人自身に対してどのような影響があるのでしょうか?また、自己感染の可能性はあるでしょうか?さらには、どうしたら除菌できるのでしょうか?

【事務局コメント】:MRSAの鼻腔保菌(コロナイゼーションしている場合)では、健康者ではそのMRSAによる自己感染などの影響はないとの見解が支持されています。また、鼻腔内からもMRSAは自然に除菌されるとの見解も支持されています。鼻腔内のMRSA除菌には通常ムピロシン点鼻が行なわれていますが、国内でもムピロシン耐性を獲得したMRSAが増加していることから、なるべくなら耐性菌の出現を防ぐためには自然に除菌されるのを待つのも一理です。ただし医療従事者では、保菌したMRSAを患者さんに感染させないために、院内感染対策上より早期にMRSAを除菌する配慮が求められます。

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Q.MRSA骨髄炎の一般的な予後は難治性なのでしょうか?

【事務局コメント】:一般論として、MRSAによる骨髄炎は難治性であることが種々の専門書で指摘されています。MRSAはもともとは細胞外寄生細菌ですが、微小膿瘍などを形成した疾患では、細胞内寄生細菌(組織細胞の内部に侵入)として考慮されます。このような場合、バンコマシンやβ−ラクタム剤が病巣部位に移行しにくいことが難治性の要因となります。外科的に病巣部が除去されることが最善ですが、MRSAが除菌できない(保菌状態)と、免疫力の低下した時に再燃することがあります。

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Q.MRSAなどの院内感染の被害に対しての相談窓口はあるのでしょうか?

【事務局コメント】:当相談室では、医事紛争につきまして直接に関与することができませんが、東京都内・東京近辺にお住まいの方には、「患者の権利オンブズマン東京」の苦情相談(無償)を推奨致しおります。なお、苦情相談(毎週水曜日)は面談のみでの対応ですので、事前に電話による面談予約が必要です。

相談受付専用電話:03ー5363ー2056

「患者の権利オンブズマン東京」(幹事長: 谷 直樹 弁護士)

160-0003 東京都新宿区本塩町7-6 四谷ワイズビル1階 谷直樹法律事務所内

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Q.新生児収容施設でのMRSA感染症予防のための施設基準はどのようなものでしょうか?

【事務局コメント】:残念なことに国内ではこのような基準は定められていませんが、米国小児学会・産婦人科学会では、ナース1人当りの新生児数、新生児1人当りの床面積、新生児同士のベッド間の距離が、MRSAなどの院内感染の流行に関与する要因として適切なガイドラインを定めています。ガイドラインの基準は次の通りです。

 

ナース:新生児の比率

1人当り床面積

(単位:平方ft)

ベッドの間隔

(単位:ft)

正常新生児室

1:6〜8

30

母児同室

1:3〜4

中間治療室

1:2〜3

50

NICU

1:1〜2

80〜100

(城 裕之:新生児病院感染の原因微生物とその対策,表4より改変)

 城 裕之:新生児病院感染の原因微生物とその対策,590-596,INFECTION CONTROL,8(6),1999

なかでも、ナースと新生児の比率がこの基準に達していないとMRSAなどの院内感染が増加すると報告されています。

引用原著:

Siegel JD:The newborn nursery,In Bennett JV & Brachman PS ed.,Hospital infection, the 4th ed.,pp403-420,Lippincott-Raven Publishers,Philadelphia,1998.

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Q.環境中のMRSAが創傷面に付着して感染する可能性はあるのでしょうか?


【事務局コメント】:これまでの報告ではMRSAは乾燥に強いこと、その感染成立には菌数の大小は認められていないことから、MRSAが付着した塵埃が舞い上がるなどして空中に浮遊して創面などに付着した場合、そのMRSAが健常者にコロナイゼーションしていたもなのか、それともMRSAによる膿瘍などから由来したものかで、さらには患者さんの身体状態によって、塵埃に付着したMRSAによる感染症の成立の可否が左右されていると考えられています。この点では各種の成書ともに見解の一致を見ています。なお、MRSAは主に接触感染により伝播するもので、飛沫感染は稀であると多くの専門書にありますが、しかし、MRSA肺炎などの患者さんの咳による飛沫感染の危険性は高いと多く� �専門書で指摘されていますので、その場合は健常者にコロナイゼーションしているだけのMRSAとは別に考えて対応するのが一般的です。

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Q.新生児室勤務職員にMRSA保菌が確認されたが、どのように対応すべきでしょうか?

【事務局コメント】:MRSAをただ保菌(コロナイゼーション)しているだけの陽性スタッフの場合には、手指消毒、白衣交換(片かけ白衣を奨励)、清潔操作(処置中に無意識に顔面や髪の毛に触れないこと)が徹底されているならば、特別な処置は不必要とされています。ただし濃厚にMRSAを排菌しているMRSA陽性スタッフでは、MRSAの除菌が確認されるまでは配置転換することが推奨されます。また、新生児室でのMRSAの流行は、通常の場合には感染源が一人とは限らないと考えるべきです。

文献)浅利誠志:MRSA消毒・除菌と治療−チーム医療で退治できるMRSA−,pp103,最新医学社,大阪,1998年(改定版が1999年に上市されました)

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Q.新生児室のMRSA院内感染でピンホールになる点には何があるのでしょうか?

【事務局コメント】:分娩室の新生児処置台や新生児室関係の水道の蛇口、新生児のコットの消毒で見落としがないかの再確認を指摘する文献があります。

文献)厚生省健康政策局指導課監修:院内感染対策Q&A 現場からのMRSA感染対策の疑問に答える,pp135,ヘルス出版,1997年の第5章のQ68−Q72参照

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Q.院内学級でMRSAを保菌した生徒と接する上で配慮することはあるのでしょうか?

【事務局コメント】:病弱養護学校の教育現場についての実際的な知識がないために、あくまでも一般論としてご参考までにお読み下さりますようお願い申し上げます。現在も相変らず世界的な規模でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に代表されます院内感染(最近は「病院感染」という表現に置きかえられる傾向にあります)が蔓延する傾向にありますが、大きな問題となっているのは抗生物質の長期投与により誕生します、多剤耐性を獲得した菌株で、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を例にしますと、バンコマイシン以外の全ての抗生物質に耐性を獲得した多剤耐性MRSAがあります。

昨今の院内感染の傾向としましては、MRSAが院内感染の主流となる以前の、1970年代に院内感染の主な原因菌であった緑膿菌が多剤耐性を獲得して再興してきたり、ニュースでも大きく報道されています結核(それも多剤耐性化したものが増加する傾向にある)、さらには多剤耐性を獲得した大腸菌やクラブジェラ、セラチア菌などの腸内細菌科の再興などがあります。めずらしい例では、環境中の広い範囲に存在するセパシア菌による院内感染もつい先日新聞やテレビで大きく報道されました。また、バンコマイシンなどへの多剤耐性を獲得した腸球菌(VRE)も昨年来より幾度となく報道されております。しかし、これらの細菌たちの多くは、元来は日和見感染菌と呼ばれている、強い病原性を持たない、通常なら目� ��たないおとなしい細菌たちなのです。つまり、これらの細菌たちは伝染病菌とは違って、通常保菌されているだけならば病気を引き起こさないのですが、体内で抗生物質に接触しているうちに多剤耐性(2種類以上の抗生物質に耐性を獲得したものを多剤耐性と定義します)を獲得し、かつ、長期の治療で体力(免疫力)が弱った状態にある患者さん(易感染宿主ないしはコンプロマイズド・ホストと呼んでいます)や、深い傷口などに感染し重篤化することが問題となったわけです。MRSAを例にしますと、健康な状態のヒトの鼻腔内にMRSAが定着(保菌とかコロナイゼーションと呼びます)した場合、通常では数週間から数ヵ月で自然に除菌されてしまうことが報告されています。感染はしても、発病には至らないわけです。� �かし免疫力が低下している患者さんの場合には、感染すると発病に直結する危険性が高くなります。結核菌のような空気感染するものを除けば、院内感染で問題となっているMRSAなどは、主に手指や物の表面を介して感染(水平感染)するもので、その伝播の予防には手洗いが一番効果的とされています。ただしMRSAなどによる肺炎を発病している患者さんの場合には、その咳に多量の排菌があることから飛沫感染する危険性があります。

ご質問は院内教育の場で、加療中のお子さんでMRSAなどを保菌する生徒さんとの授業を想定した場合と拝察いたしますが、まず、保菌状態の(あきらかにMRSA肺炎を発症したと診断される生徒さんが授業を受けられるはずもないものと思いますので)お子さんから教員にMRSAが感染し発病する可能性については、これまでのところそのような事例報告は、1件もありません。保菌と発病とはまったく異なるものです。問題はむしろ、MRSA院内感染の伝播は、MRSAを保菌、あるいは発病した患者さんから直接ではなく、医師、ナースなど医療従事者からMRSAが伝播されているということが多くの報告で明かになっていることにあると思われます。一般的には、院内教室の生徒さんからよりも、医師やナースか� ��MRSAをもらう可能性の方が高いというわけです。

これは先にも述べましたように、MRSAはごく一般的な細菌で病院内に限らず、私達の周りにもごく普通に存在している細菌たちです。そして、例えMRSAに感染、保菌したとしても、健康人においては数週間から数ヵ月で自然に除菌されてしまうことをご記憶にとどめておかれて下さい。MRSAの問題はあくまでも、何らかの疾患で免疫力の著しく低下した患者さん、あるいはご高齢の方々への配慮にあると思います。そして、知らないうちに保菌者となり自然除菌している、比較的健康な私達が、このようの方々に知らず知らずのうちに感染の機会を与えてしまうことを極力避けることではないでしょうか。

最後に、子供は周囲の大人や仲間の目にことに敏感であり、闘病中の子供たちは自分の体や病気のことには特に過敏になっています。その上、MRSAを保菌していることで色眼鏡で見られることにでもなるとさらに負い目を感じさせることにもなり、その子の心に与える傷の深さは計り得ないほどの深刻なものとなります。このような偏見を受けることは後々まで心に深い傷口を残しますだけに、現場の教員のみなさま方の、子供たちへのご配慮とご苦労を拝察申し上げます。

なお近年の院内感染に由来するMRSAの大半は、消毒剤耐性遺伝子を保有し、すでに消毒剤への高度耐性を示すものも出現していますので、消毒剤耐性菌を出現させないためにも、なるべくなら手洗いとうがいによる水平感染の予防策が理想とされます(WHO推奨)。病院はある意味では院内感染菌による濃厚な環境汚染を受けている施設ですので、病院から帰宅された際には石鹸による手洗いと、うがいを励行することを怠らないことが大切に思います。

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Q.MRSAの付着した衣類を家庭で洗濯する上で配慮することはあるのでしょうか?

【事務局コメント】:よほど多量のMRSA(MRSAによる感染症を発病している患者さんに由来する膿などを想定)が付着した衣類の場合には、その他の衣類とは別々に洗濯することをお勧めしますが、発病に至らない保菌状態にある日常生活者の場合には、通常の洗濯物として扱って構いません。なお、MRSAは比較的に熱に強いので、乾燥機などでMRSAを殺菌しようと思っても、100度Cで1分間、80度Cで15分間もの加熱が必要であったという報告があります(60度Cではそれ以上の時間をかけても殺菌されなかったとのことです)。家庭で出来る最も効果的な殺菌方法は、台所漂白剤(次亜塩素系漂白剤)に漬け置きすることですが(ウイルスを失活させることも出来ます)、色物や金属� �色落ちや腐食しますので自ずとその使用は限られます。

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Q.医師・ナースより院内感染を知らされた際には、どのような点を確認すべきでしょうか?

【事務局コメント】:私どものところにお寄せいただきます一般市民の方よりの相談メールでは、ご家族またはご本人が院内感染の告知を医師やナースより受けた際に、その場では気持が動転されてしまい、説明を受けた際に理解出来なかった点や不明点の再確認も出来ないで終ってしまい、ただ不安だけが残り私どもにご相談をお寄せ下さる場合が少なくありません。なかには、明らかに医師やナースの説明不足や誠意のない対応だったとしか思えない事例もありましたが、原則は担当の医師やナースに納得の行くまで疑問に答えてもらうことにあります。院内感染したことを告げられた場合に、ご本人ならびにご家族が医師やナースに確認すべき点としましては、次の8項目を確認されておくことが大切です。1� �いつから(院内感染が確認された日付)? 2)どこで感染したのか(一般病室でか、それとも集中治療室や手術室でなのか等)? 3)どのような原因で感染したのか(外科手術によるものなのか、感染経路は)? 4)どのような病原体によるものなのか? 5)体のどの部位に感染しているのか? 6)それは保菌(感染)状態なのか?それとも発症(発病)しているのか? 7)それに対してどのような治療が行われているのか?(抗生剤を使用しての治療の場合には、その間にどのような薬剤をどの位の期間使用してきたのかその薬剤名と投与期間を具体的に確認します) 8)治療の予後はどうなのか?

インフォームドコンセントがいわれている割には、いまだに患者や家族に対して威圧的(?)な態度を取る医師がいるようですが、医療の場とて医師も患者も対等であるのです。

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Q.MRSAの人体のどのような部位に保菌されますか?

【事務局コメント】:これまでの報告では、健康な方ではヒトの毛髪、頭皮、表皮、まぶた、外耳道、鼻腔、咽頭、体表、腋の下、股間、陰部、糞便などから検出されることがあります。

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Q.感染対策上で半袖白衣の推奨される理由はどうしてでしょうか?

【事務局コメント】:白衣は袖口、腹部、胸元の順で汚れやすいことと、臨床では手洗いは肘までが原則のために半袖白衣の着用が推奨されています。

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Q.MRSAとMSSAの判定基準とはどのようなところにあるのでしょうか?

【事務局コメント】:黄色ブドウ球菌(S.aureus)がMRSAであるかの判定は、最小発育濃度(MIC値)がMPIPCに対して4μg/ml以上、またはDMPPCに対して同値が16μg/ml以上の耐性を示した場合にMRSAと判定されます。ディスク法では、標準ディスクの場合、MPIPC:1μg/mlを含有する平板寒天培地での阻止円の直径が10mm以下の場合をMRSAと判定します。この判定基準に満たない感受性株はMSSAと分類されます。

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Q.MRSA検査結果の菌量表示の基準とはどのようになっているのでしょうか?

【事務局コメント】:MRSAの菌量検査の結果は、次の3段階で表示されます(1ml相当のコロニー数)。

「1+」:1万個以下

「2+」:1万〜100万個

「3+」:100万個以上

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