アメリカは将来、長期にわたって西半球の外で覇権を維持することもできない。クリストファー・レイン - 株式日記と経済展望
アメリカは将来、長期にわたって西半球の外で覇権を維持することもできない。
アメリカの大戦略を支えた内的、外的条件が失われつつあるからである。
2011年11月15日 火曜日
クリストファー・レイン:著 幻想の平和 1940年から現在までのアメリカの大戦略
台湾を中国に任せ、日本を自立・核武装させるアメリカの大戦略「オフショア・バランシング」
とは? 米国政府を動かした"ネオクラシカル・リアリズム"の重要理論、待望の邦訳化。
◆今週の本棚:白石隆・評 『幻想の平和』=クリストファー・レイン著 11月13日 毎日新聞
◇アメリカ、覇権追求の論理を検証する
アメリカは、第二次大戦後、西半球を超えて、西欧、東アジア、ペルシャ湾地域で覇権(ヘゲモニー)を確立、維持することを大戦略としてきた。しかし、アメリカが将来、これらの地域で覇権を維持できる可能性は小さい。歴史は、覇権を追求すると必然的に自滅する、と教えている。それは一つには、覇権が常にカウンター・バランシング(対抗)を引き起こすからであり、もう一つは、帝国がその能力を超えて周辺に介入する「帝国の過剰拡大」をもたらすからである。では、なぜアメリカは西欧、東アジア、ペルシャ湾地域で覇権を求めてきたのか。それに代わるどのような大戦略があるのか。それが本書の問いである。
なぜアメリカは西欧、東アジア、中東で覇権を求めてきたのか。本書はこれを国際システムにおける力の分布と国内政治のダイナミックスで説明する。アメリカは第二次大戦後、ソ連もふくめ、他のすべての国々と比較して圧倒的な力をもつことになった。また、アメリカはそれまでに、西半球で覇権を確立していた。こうしてアメリカは1940年代、西欧と東アジアと中東において覇権を確立する手段と機会を手に入れた。
しかし、それだけでは、アメリカがなぜこれらの地域で覇権を求める行動をとったか、説明できない。それを説明するのがアメリカの「門戸開放(オープン・ドア)」である。門戸開放は、経済的には、国際的に開かれた経済システムを維持すること、政治的には、民主制と自由主義を世界に広めることを意味する。アメリカには、その政治経済システムを維持し、繁栄と安定を維持するためには、民主的で開かれた自由主義的国際秩序を世界に拡(ひろ)げていかなければならないというウィルソン主義的な考え方がある。これがアメリカの覇権追求の国内政治的衝動を生み出す。
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しかし、門戸開放は、結局のところ、アメリカの安全と繁栄をもたらすのではなく、「帝国の過剰拡大」をもたらす。その意味で、ウィルソン主義は、平和ではなく、「平和の幻想」をもたらすにすぎない。
しかも、アメリカは将来、長期にわたって西半球の外で覇権を維持することもできない。アメリカの大戦略を支えた内的、外的条件が失われつつあるからである。第一に、新興国の台頭によって国際システムにおける力の分布は多極化していく。第二に、アメリカが「帝国の過剰拡大」の罠(わな)にはまっている。そして第三に、アメリカはその財政的・経済的制約からいずれ軍事的優位を維持できなくなる。
では、どうすればよいのか。「オフショア・バランシング」が本書の答えである。その目的は、アメリカが国際システムにおいてもつ力の相対的位置に対応して、柔軟に、戦略的に、アメリカの行動の自由を最大限、確保することである。ではなにをするのか。アメリカは、東アジア、西欧、ペルシャ湾地域において、アメリカ中心の地域的安全保障システムを維持するのをやめる。その代わり、防衛の責任をそれぞれの地域の主要国家に移譲する。それは具体的には、たとえば東アジアにおいて、日米安保条約を破棄し、日本に海洋の安全、東シナ海における領土主権防衛、さらに核抑止の能力を提供するとともに、日本、韓国等、現在、アメリカの同盟国である国々がインド、ロシアなどと� �もに、潜在的な覇権国である中国とバランスするよう、促すことである。あるいは中東について言えば、アメリカは中東からの原油輸入依存を減らし、中東から撤退すべきである。
わたしは、オフショア・バランシングがこれから10〜20年のうちにアメリカの大戦略になるとは考えない。それには二つ理由がある。その一つはきわめて単純である。本書はアメリカの大戦略の基本に「門戸開放」のイデオロギーと政策があることを示している。では、なぜ、門戸開放が近い将来、力を失うというのか。
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もう一つ、世界がこれから多極化に向かうことは疑いない。しかし、それでアメリカを中心とした世界秩序が終わるわけではない。かつて19世紀には、国際社会は、国家を超えた超越的権威がないという意味でアナーキー(無政府状態)だったばかりでなく、主権国家の行動を律する国際的規範とそれを体現する制度も未成熟だった。しかし、21世紀の現在、世界には、アメリカの覇権下につくられたさまざまの制度と規範がある。新興国の台頭とともに、こうした制度と規範は変わっていく。しかし、なくなるわけではない。多極化するからアメリカは引くべきだということにはならない。
わたしは、本書(原書)出版以来、大学院のセミナーで本書をテキストの一冊として使っている。国際政治について考えるとはどういうことか、本書の骨太の論理と格闘させることが、学生が成長する上で役に立つと考えるからである。決して読みやすい本ではない。しかし、アメリカの世界戦略について考えたい人には必読の書である。(奥山真司訳)
(私のコメント)
今日の話題はTPPとも関係する話ですが、日本が環太平洋における影響力の大きさがAPECの会議で証明された。日本が参加協議に入ると発言しただけでカナダやメキシコも加盟協議に加わると発表された。中国なども強い関心を示すようになりましたが、アメリカが突出したTPPでは信用が出来ないが、日本と言う大国が加わることで経済圏としての形が出来上がる。
アメリカと言う国は国益の名の下に自分勝手な要求を突きつけてくる国ですが、カナダやメキシコはNAFTA で泣かされてきた。韓国に対しても毒薬条項を飲ませて韓国では大規模なデモが起きている。超大国アメリカに対等に話が出来る国は数カ国しかありませんが、経済に関しては日本はアメリカにものが言える唯一の国といっていいだろう。
何しろ米ドルを買い支えて米国債も大量に保有して、民間も含めれば世界一の債権国家なのだ。もし日本の金利が1〜2%上がったとしたら世界に投資されていたジャパンマネーが日本に還流して、ヨーロッパやアメリカは金欠でショック死するだろう。だから日本の政府日銀は金利を上げたくても上げられない。日本が世界への資金供給国になっているからだ。
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日本は円高でデフレで苦しんでいますが、ドルに対して上がっている通貨は円だけであり、円がドルの価値を実質的に支えている。しかし残念でならないのは日本には強大な日本の国力を生かした外交が出来る総理大臣がおらず、英語も出来なければ国際条約が国内法に優先するといった常識もないような総理では外国の首脳からバカにされ続けてる。
日本な庶民がしっかりして質も高いから、バカ殿でいてくれたほうが政治が上手くいくという国家だったからですが、欧米ではトップダウンの国であり庶民レベルの質が低いから首相や大統領が有能でないとまとまらない。バカ殿がバカであることを自覚して有能な部下に任せていえばいいのでしょうが、バカ殿がバカであることを自覚せずになんでも目立とうとすると菅総理のようになってしまう。
日本では官僚がしっかりしていたから何とかなってきたのですが、政治主導を言う民主党政権になってから官僚は仕事をしなくなり、東日本大震災でも官僚は被災地に行くこともしなかった。だから国際交渉の場でも事務レベルで調整しながら外交を行なうのが日本のやり方であり、トップ会談で何でも決めようとするアメリカのやり方とは合わない。
国家の指導者にスーパーマン的な人物を求めるべきではなく、ナポレオンやヒトラーの例のようにスーパーマン的な指導者は国家を滅亡に導く元になる。その点では日本はバカ殿総理が続いているから経済大国になれたのだろう。しかしそれはあくまでも庶民レベルの日本人の質が高いからであり、外国がそれを真似ても上手くはいかない。
逆に中国ではスーパーマン的な皇帝でなければ国が統治できない国であり、欧米諸国と似ている。日本では総理大臣が1年ごとに交代しても何の影響もありませんが、アメリカや中国の指導者が毎年代わったら国は分裂するだろう。アメリカの大統領もスーパーマンであることが要求されている。だからこそ国家としては危ういのであり、ソ連はゴルバチョフというスーパーマンが出てきたことで崩壊してしまった。
アメリカもかつては孤立化政策で不関与政策な国でしたが、F・D・ルーズベルトというスーパーマンが出てきて、西半球のみならず東半球にまで勢力を広げて世界の覇権国家となった。クリストファー・レインは著書で「アメリカは、第二次大戦後、西半球を超えて、西欧、東アジア、ペルシャ湾地域で覇権(ヘゲモニー)を確立、維持することを大戦略としてきた。しかし、アメリカが将来、これらの地域で覇権を維持できる可能性は小さい。歴史は、覇権を追求すると必然的に自滅する、と教えている。」ということですが、ナポレオンもヒトラーも勢力を拡大しすぎたことで自滅した。
TPPも門戸開放を迫る外交政策ですが、著書によれば「門戸開放は、結局のところ、アメリカの安全と繁栄をもたらすのではなく、「帝国の過剰拡大」をもたらす。その意味で、ウィルソン主義は、平和ではなく、「平和の幻想」をもたらすにすぎない。」としている。たとえTPPが出来たとしても誰が地域の覇権を守るのだろうか?
著書では「アメリカは将来、長期にわたって西半球の外で覇権を維持することもできない。アメリカの大戦略を支えた内的、外的条件が失われつつあるからである。第一に、新興国の台頭によって国際システムにおける力の分布は多極化していく。第二に、アメリカが「帝国の過剰拡大」の罠(わな)にはまっている。そして第三に、アメリカはその財政的・経済的制約からいずれ軍事的優位を維持できなくなる。」と予想していますが、私もアメリカの崩壊を予想してきた。
アメリカは石油が生んだ超大国であり、ソ連も石油が生んだ超大国でしたが国内石油生産がピークを過ぎたときに崩壊した。アメリカも世界の石油生産が2004年にピークを打って頭打ちになっている。だからリーマンショックが起きてアメリカ経済は急速に衰退しつつある。石油によって栄えた国は石油がなくなれば滅びるのは歴史的な必然だ。石炭やシェールガスは豊富にあるが石油でなければ車も飛行機も船も動かない。
アメリカは東アジアから撤退していくのは必然だろう。「オフショア・バランシング」が本書の答えであるとしていますが、日本は今からそのことを想定した国家戦略を持たなければならない。著書でも、「たとえば東アジアにおいて、日米安保条約を破棄し、日本に海洋の安全、東シナ海における領土主権防衛、さらに核抑止の能力を提供するとともに、日本、韓国等、現在、アメリカの同盟国である国々がインド、ロシアなどとともに、潜在的な覇権国である中国とバランスするよう、促すことである。」としている。
これは常々「株式日記」で主張してきたことであり、日本は自主独立国家となり核武装してアジアの平和と安定にアメリカに代わって努めるべきである。クリストファー・レインは極めて常識的な事を書いているだけであり、その事が分からないのは日本の政治家や国際政治学者たちだ。私のような天才的な戦略家だからこそクリストファー・レインとは意見が一致する。(笑)
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